こんばんは、紅の鹿です。

紅の鹿は昨年に、ファンダメンタルズ分析及び今後の成長ストーリーに基づいた株式銘柄分析記事「買いどきか否か!?」を年間で10本書きました。

その一方、今年に入ってからはひとつも書けていなかったのですが、ようやく今年初の株式銘柄分析記事を書きます。

今年に入ってから当ブログを読み始めた方の多くは「買いどきか否か!?」シリーズをご存知ないでしょうから、そもそも「買いどきか否か!?」シリーズを知らない方、過去記事を読みたい方は、下記のURLに過去記事のリンク集がありますので、そちらをチェックしていただければと思います。

※株式銘柄分析記事「買いどきか否か!?」シリーズを検証してみた
http://cervorosso.blog.jp/archives/1017442951.html




それでは始めます。(以下、長文になります。ご留意ください。)

今回は、現時点で紅の鹿のポートフォリオのウェイト第3位を占めているアイスタイルの会社紹介と分析を書きます。



〔会社紹介〕

アイスタイルは、国内最大規模の化粧品・美容総合サイト「@cosme(アットコスメ)」を運営、広告販売をしている会社です。また、化粧品販売実店舗の「@cosme store(アットコスメストア)」を6店舗運営しています。O2Oに強み。

最近になって、中華圏における化粧品卸事業(B2B)、越境EC事業(B2C)、動画広告事業を開始するなど新規事業の展開に積極的に取り組んでいます。

東証1部上場。時価総額約130億円。
株価873円(4月20日終値)。
PER48.50、PBR2.68(※楽天証券より抜粋)。

会社設立以来、一度も減収になったことはなく、毎年増収を続けている会社です。
リーマンショック後の景気低迷期においても増収を続けました。

14年連続増収中で、今期で15年連続増収となる見通しです。



image

(※上記画像は、同社の2015年6月期第2四半期決算説明資料から抜粋。)




〔分析〕

今回の分析記事では、アイスタイルの中期経営計画に焦点を当てます。


そこで、まずはじめに中期経営計画を見てみましょう

image

(※上記画像は、同社の2014年6月期通期決算説明資料
から抜粋。)


2016年6月期に売上高100億円、営業利益15億円の数値目標を掲げる中期経営計画です。

来期(2016年6月期)が中期経営計画の最終年度になります。



次に、今期(2015年6月期)の期初時点の業績予想を見てみましょう。


image

(※上記画像は、同社の2014年6月期通期決算説明資料から抜粋。)


今期(2015年6月期)の業績予想は、売上高73.59億円、営業利益2.54億円の数値目標です。

前期(2014年6月期)実績と比較すると、売上高は前年同期比103.1%の増収を見込んでいますが、営業利益は前期比53.7%となっており、利益が約半分になる大幅減益見通しとなっています。

それにもかかわらず、中期経営計画の最終年度である来期(2016年6月期)には、売上高100億円、営業利益15億円の数値目標。例えば、中期経営計画の達成には、営業利益は今期予想の2.54億円から約6倍となる15億円に伸ばす必要があり、99.9%の高確率で達成不可能と思われるのではないでしょうか。


今期(予想)の営業利益を来期には6倍にしなければならない。

非常に高いハードルのように感じますよね。

しかしながら、詳細をみていけば、そこまで高いハードルではないことがわかります。






少し話はそれますが、

GMOペパボが今年の2月4日に本決算発表を行いました。
その中で、今期の営業利益が0円(※前期は7.24億円)となる衝撃的な大幅減益予想を出しました。

また、エニグモが今年の3月17日に本決算発表を行いました。
その中で、今期の営業利益が7.02億円(前期比▲41.3%)となる大幅減益予想を出しました。

大幅減益予想が嫌気されて、上記2社の株価は決算発表日の翌日に急落しました。

しかし、急落した後すぐに株価は大幅反発しています。


GMOペパボの場合は、決算発表前の終値が4,110円。決算発表翌日には▲8.76%となる3,750円をつけるなど株価が急落しました。しかし、その後は株価は右肩上がりに上昇し続けて、4月20日終値は9,420円と株価は2倍以上に急騰しました。

エニグモの場合は、決算発表前の終値が1,040円。決算発表翌日
には一時▲15.88%となる858円をつけるなど株価が急落しました。しかし、その後に株価は反発して、決算発表からわずか2週間後の今月1日には株価1,090円をつけて年初来高値を更新しました。


一般的に本決算で大幅減益予想を発表した会社の株価は大きく下がる傾向にあります。

しかしながら、上記の2社は発表翌日には株価が急落したにもかかわらず、その後、短期間で株価は大幅反発しました。


なぜ、このようなことが起こったのでしょうか。

その理由、上記2社の大幅減益予想は、将来の成長を見据えた積極的な費用投資による一時的な落ち込みによるものであり、決してマイナス一辺倒の内容ではないと投資家に理解されたからです。





話を元に戻します。


実は、アイスタイルの今期(2015年6月期)の大幅減益予想も上記2社と同じものなのです。

中期経営計画達成に向けたシステム開発投資、広告宣伝費、新たな事業の開始にかかる費用など積極的な投資を行うために、今期は大幅減益になるという予想です。

よって、今期の営業利益(予想)2.54億円の約6倍となる来期の営業利益(予想)15億円の数値目標設定は想定の範囲内といえます。





それでは次に、今期(2015年6月期)の営業利益(予想)2.54億円は達成可能な数字なのかをみていきます。

すでに今期は第2四半期までの決算を発表済みです。

第2四半期の決算は次の数字で着地しています。



image

(※上記画像は、同社の2015年6月期第2四半期決算説明資料から抜粋。)


売上高は前年同期比+32%と好調に推移し、通期予想に対する進捗率は59.9%
営業利益、経常利益、当期純利益は、すでに通期予想を大きく超過

けれども、会社側は下期の売上見通しが不透明、下期ローンチ予定のスマートフォンサイトリニューアルに関する開発投資を強化予定、業務委託費等の一時的な費用増を見込むことから、通期業績予想は据え置きました。


しかしながら、期初の会社予想を大きく上回る結果となっていることは明白で、会社四季報が今期の売上高(予想)を82億円(※会社予想比+11.4%)、営業利益を4.5億円(※会社予想比+77.2%)と大幅上方修正したこと等によって、第2四半期決算発表以後、株価は大きく上昇しました。


よって、今期(2015年6月期)の営業利益(予想)2.54億円を確実に達成できる状態にあるだけでなく、大きく上振れして着地する可能性が高まっています。


会社の期初予想を大きく上回る結果となっている理由に、マーケティング事業と小売事業の店舗事業が想定以上に好調に推移していることが挙げられます。

紅の鹿はマーケティング事業については不得手な分野のため、マーケティング事業については割愛させていただきますが、得意分野の小売事業の店舗事業について少し触れておきます。


店舗事業は今期売上予想73.59億円の約3分の1を占める事業です。
店舗事業の今期売上予想は24.71億円(※前年比+6.2%増)。


image

(※上記画像は、同社2014年6月期通期決算説明資料から抜粋。)


今期の期初予想時点での店舗事業では、上記の画像のとおり売上高+6.2%増を計画していました。

ところが蓋を開けてみると、既存店舗が首都圏の好立地に位置していたことから免税対応導入後にインバウンド(訪日外国人客)需要を大きく取り込むことに成功し、今期の既存店売上高は月平均で約+30%増(※紅の鹿独自調べによる)と期初予想を大きく上回る数字で推移しています。


さらに、昨年11月には訪日外国人客が多く訪れる大阪道頓堀にTSUTAYAとのコラボレーション店である@cosme store/ TSUTAYA EBISUBASHI店を新規オープンしています。なお、この新店は、第2四半期決算説明会の質疑応答の中で、”予算(※期初予想)にはあまり盛り込んでいなかったが現在のところ順調に成長している”との回答がありましたので、既存店舗と同様、インバウンド需要を取り込みながら売上が順調に伸びていくことが期待されます。

また、エビデンスはなく紅の鹿の勝手な想像になりますが、アイスタイルの強みのひとつであるO2O(※実店舗での購入につなげるためにネット上で行われる、販売促進やマーケティングなどの活動)の強化が店舗事業の売上の底上げにつながったのではないのかと思っています。

以上の結果、店舗事業の第2四半期累計の売上高は14.33億円となり、
前年同期比約+37%増を記録しました。
期初予想+6.2%増を大きく上回っています


以上で、中期経営計画と今期(2015年6月期)の第2四半期決算についての現状説明を終わります。







それでは、いよいよ本題のアイスタイルの中期経営計画に焦点を当てます。


ここで重要なポイントは次の2点です。

(1) アイスタイルが7月下旬に予定している2015年6月期本決算発表時に、来期の業績予想として中期経営計画に沿った売上高100億円、営業利益15億円を出してくるのか否か。

(2) 中期経営計画は達成可能であるのか、それとも達成は困難であるのか。



まずはじめに(1)について。

紅の鹿の予想では、7月下旬に予定している2015年6月期本決算発表時に、来期の業績予想として中期経営計画に沿った数値目標を発表する確率は非常に高いと考えています。




その根拠のひとつが次のアイスタイルの吉松社長のインタビュー記事(※日本証券新聞社2014年11月17日付)です。

・(--2016年6月期に売上高100億円、営業利益15億円の数値目標を掲げる中期経営計画を推進している。) 吉松: 今6月期(※2015年6月期のこと)は期初に保守的な事業計画を立案したが、これはシステム開発投資の償却ピークや新たな施策のための投資を見込んだためであり、来期(※2016年6月期のこと)からの成長を見据えた準備期間と位置づけている。中期計画の見直しは考えておらず達成に向けた改革を進めている。

(上記の黄色の蛍光ペンを塗っている箇所は上記のインタビュー記事からの一部抜粋になります。)


この記事で一番重要なポイントは、昨年11月17日時点では吉松社長は中期経営計画の見直しを考えていないということです。

言い換えれば、今期(2015年6月期)の営業利益が計画している2.54億円を下回らないかぎり、来期(2015年6月期)の営業利益計画15億円は見直さないということです。
もしかりに、今期予想2.54億円を下回ることになれば見直しの必要がでてくるでしょう。

そしてその後、インタビューから2か月半後に発表された第2四半期決算では、前述のとおりインバウンド需要の押し上げにより想定以上に推移している店舗事業が寄与したことなどによって、会社の期初計画を大きく上回る数字を記録しました。

今期(2015年6月期)の営業利益(予想)2.54億円を確実に達成できる状態にあるだけでなく、大きく上ブレして着地する可能性が高まっている状態です。


したがって、インタビュー当時より業績が上向いている現在の状況で、中期経営計画の見直しを行うことはありえないというのが紅の鹿の推定です。


よって、アイスタイルは7月下旬の決算発表時に来期(2016年6月期)の業績予想として中期経営計画に沿った売上高100億円、営業利益15億円を発表するはずです。




以下、紅の鹿の独自予想になります。

今期中に投資関連費用等を先行して費用計上するという会社の意向があることから、来期に大きな特別損失(※固定資産除却損、ソフトウェア除却損、減損損失など)が発生する可能性は極めて低く、来期の営業利益が15億円であれば、来期の純利益は8.5億円前後になると推定できます。

営業利益15億円、純利益8.5億円の場合、EPSは約59円になります。

株価873円(4月20日終値)で算出した来期予想PERは14.8倍になります。
(※計算式: 株価873円÷EPS59円=14.79)


アイスタイルの適正PERがどのくらいであるのかの判断は難しいのですが、会社四季報に記載されているアイスタイルの比較会社の会社四季報来期業績予想から算出した来期予想PERは次のとおりです。

・カカクコム 来期PER32.1
・クックパッド 来期PER40.8
・エムスリー 来期PER63.5

さすがに上記3社と比べるとアイスタイルの評価は落ちるでしょうが、会社設立以来、14年連続で増収(※今期で15年連続増収達成見込み)を続けているインターネットビジネス関連の成長企業であることを考慮すると、PER30.0前後が適正な水準であるのかなと思っています。

ちなみに会社四季報の来期予想は営業利益7.5億円、純利益4億円、EPS28.0円のため、4月20日終値873円で算出した来期PERは31.2となり、会社四季報の来期予想を織り込む形ですでに株価が推移しているのであれば、PER30.0が適正な水準といえるかもしれませんね。



しかしながら、今から3か月後の7月下旬に予定されている2015年6月期本決算発表時に、来期の業績予想として中期経営計画に沿った数値目標(売上高100億円、営業利益15億円)を発表しただけでは、PER30.0の評価を株式市場から受けることはないでしょう。

なぜならば、発表された売上高100億円、営業利益15億円という数値目標が本当に達成できるのがわからないからです。中期経営計画が未達となるリスクが残っています。


そのため、7月下旬の本決算発表後すぐにPER30.0の評価を株式市場から受けることはないでしょう。

けれども、会社四季報予想を大きく上回る(※来期営業利益は会社四季報予想が7.5億円のため、15億円は会社四季報予想の2倍である。)数字であることから、株式市場で好感されるはずです。業績予想発表直後の最低ラインとしてPER20.0となる株価1,180円ぐらいまでは株価の上昇が見込めるのではないかと考えています。
(※計算式: EPS59円×PER20.0=1,180円)

もしそのとおりに株価1,180円になれば、
現在の株価(4月20日終値)は873円のため、
株価は3か月後に+35%上昇することになります。


そして、中期経営計画を達成して来期PER30.0の評価を株式市場から受けられれば、株価は1,770円になります
(※計算式: EPS59円×PER30.0=1,770円)

現在の株価(4月20日終値)は873円のため、
株価は15か月後に+103%上昇することになります。

今から15か月後には株価が約2倍になる可能性を秘めています。
※中期経営計画より上ブレして着地したり、PER30.0以上の評価を受けられれば、さらに株価は上昇する可能性も。



もちろんそこが終わりではありません。

15か月後に発表される来期(2016年6月期)の本決算では、2017年6月期を開始年度とする新たな中期経営計画が策定されるはずです。同社は2017年以降も成長し続けるでしょう。





長くなりましたので、そろそろまとめに入ります。

今回の分析記事で重要なポイントは次の2点です。

(1) アイスタイルが7月下旬に予定している2015年6月期本決算発表時に、来期の業績予想として中期経営計画に沿った売上高100億円、営業利益15億円を出してくるのか否か。

(2) 中期経営計画は達成可能であるのか、それとも達成は困難であるのか。


紅の鹿は、上記(1)の中期経営計画に沿った業績予想の発表は、前述したように非常に高い確率でありえると考えています。

その一方、上記(2)については正直なところ現時点ではどのような結果となるのかはわかりません。今後、既存事業と新規事業がどれだけ伸びるのかによるでしょう。
(※もちろん株主としては達成可能であると期待していますよ。達成できないと予想するのであれば株主にはならないですからね(笑))




「今、アイスタイルの株式は買いどきか否か!?」

答え合わせは中期経営計画の達成の可否が判明する15か月後に。

なお、くれぐれも株式投資は自己責任でお願いします。