こんにちは、紅の鹿です。

本日は、3日前に発表されたゲンキーの2017年6月期第1四半期決算を分析します。
※2017年6月期第1四半期決算短信はこちら
http://www.genky.co.jp/files/ir/temp/000450.pdf


売上高が前年同期比14.8%増の20,706百万円、営業利益が前年同期比72.4%増の1,061百万円、純利益が前年同期比73.5%増の759百万円となり、大幅増益で着地しています。

好決算を受けて株価は決算発表翌日にストップ高(5,010円)となりました。


次に、四半期毎の推移を見てみましょう。

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※上記画像はKabutanより一部抜粋したもの
https://kabutan.jp/stock/finance?code=2772&mode=k


2017年6月期の第1四半期決算(※上記表の16.07-09)では、四半期営業利益率が過去最高となる5.1%を記録しました。

ゲンキーの四半期営業利益率は2015年6月期第4四半期決算(※上記表の15.04-06)に4.8%を記録した後は、四半期毎に下がり続けて、2016年6月期第3四半期決算(※上記表の16.01-03)には2.9%まで落ち込みました。


その後、一転して、2016年6月期第4四半期決算(※上記表の16.04-06)で4.9%に急上昇して、今回の決算ではさらに5.1%まで上昇しています。


四半期売上高はおおよそ前年同期比+15%前後の増収が続いていた一方、四半期営業利益率がなぜこのように大きく上下に変動したのでしょうか。

その要因を探ってみましょう。




ここでポイントとなるのは、ゲンキーが2015年2月から新たに始めた小商圏型の中型店(※以下、New300坪タイプと呼ぶ。)です。

New300坪タイプは、店舗サイズ、レイアウト、店内作業、営業時間がすべて同じ「完全標準化店舗」です。
物流、陳列、発注、補充などの作業を単純化、標準化することでローコストオペレーションを実現しています。

New300坪タイプの第1号店は、2015年2月に岐阜県に新規オープンしました。

1号店出店後、積極的に新規出店を進め、2017年6月期第1四半期決算(※2016年9月末日)時点のNew300坪タイプの新規出店数(累計)は、63店舗まで増えました。
(※ゲンキーの決算締日は20日ですが、21日~末日までの約10日間のズレが業績に与える影響は極めて小さく、また計算手続きを簡略化するため末日時点の店舗数にしています。あらかじめご理解ください。以後、すべて同様の理由により末日時点としています。)


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しかしながら、このNew300坪タイプは出店すればするほど赤字が膨らんでいく店舗でした。

ここで、2016年3月30日の日本経済新聞に掲載された記事の一部を抜粋します。

北陸針路を聞く ゲンキー(坂井市)藤永賢一社長
・中部、特に岐阜への出店が相次ぐのはなぜか。「各社は市場が大きい愛知県に出店したい。ただスギ薬局(愛知県)のシェアが高い。一方、岐阜は行政が店舗や工場を呼び込みたいとの姿勢を示しており、出店しやすい。」
・人材確保。「地域シェアが高いと、その地域から人材が取りやすくなる。現在、ゲンキーでは医薬品登録販売者が1店舗に3人ほど必要だ。新卒・中途採用を強化し、とにかく登録販売者を増やす。」
・レギュラー店の出店。「シェアが小さいエリアでも約1年で損益分岐点を超えた。自社店舗が多いドミナントエリアはもう少し早く9か月で超えた。戦えると感触がある。」




ここで注目してほしいところが、レギュラー店(※New300坪タイプのこと)の出店についての藤永社長のコメントです。


・シェアが小さいエリアでは約1年で損益分岐点を超えた
・自社店舗が多いドミナントエリアでは約9か月で損益分岐点を超えた


自社店舗が多いドミナントエリアは地元かつ県内トップシェアの福井県、シェアが小さいエリアは石川県、愛知県、岐阜県の3県です。

よって、福井県に新規出店したNew300坪タイプは出店後から9か月間は損益分岐点を超えられず赤字店舗、石川県、愛知県、岐阜県に新規出店したNew300坪タイプは出店後から1年間は損益分岐点を超えられず赤字店舗であったといえるでしょう。

つまり、この
New300坪タイプは、出店すればするほど赤字が膨らんでいく店舗でした。

そのため、New300坪タイプの出店が増えていく中で、赤字が膨らみ続けて利益が減ったため、ゲンキーの四半期営業利益率は2015年6月期第4四半期決算に4.8%を記録した後は、四半期毎に下がり続けて、2016年6月期第3四半期決算には2.9%まで落ち込みました。




次に、2016年3月末日、2016年6月末日、2016年9月末日時点のNew300坪タイプの赤字店舗比率をみてみましょう。

(1) 2016年3月末日時点


new300-3matu
new300-3matu2


(2) 2016年6月末日時点

new300-6matu
new300-6matu2


(3) 2016年9月末日時点

new300-9matu
new300-9matu2


上記(1)~(3)の表をみたら一目瞭然ですね!!

New300坪タイプの赤字店舗比率は、

・2016年3月末日: 88.6%
・2016年6月末日: 68.6%
・2016年9月末日: 58.7%



四半期毎に赤字店舗比率は低下しています。

言い換えると、四半期毎に黒字店舗が増えています。
赤字覚悟で出店していたNew300坪タイプの黒字店舗化が次々に進んでいます。


例えば、2016年3月末時点は、New300坪タイプの約9割が赤字店舗でした。
そのため、2016年3月末時点(=2016年6月期第3四半期決算)では、四半期営業利益率が過去2年では最低となる2.9%まで悪化しました。
New300坪タイプの約9割が赤字だったのだから、営業利益率の悪化は当然の結果といえますね。

その後、赤字店舗が2016年6月末時点で約7割、2016年9月末時点で約6割まで減少したことによって、四半期営業利益率は、2016年6月末時点(=2016年6月期第4四半期決算)で4.9%、2016年9月末時点(=2017年6月期第1四半期決算)で5.1%まで上昇しました。


営業利益率は5.1%に上昇しましたが、いまだ赤字店舗が約6割を占めている状態です。


赤字店舗6割・黒字店舗4割の状態で営業利益率5.1%を記録したというのは、ほんとうに”凄い”の一言ですね!!


New300坪タイプの利益率の高さがうかがいしれます。

これからも四半期毎に赤字店舗比率は低下し続けます。
よって、四半期営業利益率は持続的に上昇すると推定できます。





長くなりましたので、そろそろまとめに入ります。

ゲンキーは、2017年6月期~2019年6月期の3年間で福井、石川、愛知、岐阜の4県にNew300坪タイプ計185店舗の新規出店を計画しています。そのため、新規出店を主体とした売上高増加によって年平均+15%の増収が見込めます。
また、New300坪タイプの赤字店舗比率の低下によって、営業利益率の持続的な上昇が見込めます。

したがって、年平均+15%の増収と営業利益率の持続的な上昇の両輪で、EPS(1株利益)は右肩上がりに増えていくと推定できます。

このような成長企業であるゲンキーの株式が、現時点で今期予想PER12倍という株式市場の評価であるため、ゲンキーの株式は割安であると考えます。
(※今期予想PER12倍は紅の鹿推定です。10月21日終値5,120円、今期予想EPS425円で算出。)






〔補足事項: ゲンキーと薬王堂の比較〕

直近の2四半期業績と株式時価総額(※10月21日終値)

(1) ゲンキー
・業績:
 〔16.04-06〕 売上高20,198百万円、営業利益998百万円、純利益740百万円、営業利益率4.9%
 〔16.07-09〕 売上高20,706百万円、営業利益1,061百万円、純利益759百万円、営業利益率5.1%
・株式時価総額: 361億円 

(2) 薬王堂
・業績
 〔16.03-05〕 売上高17,776百万円、営業利益815百万円、純利益520百万円、営業利益率4.6%
 〔16.06-08〕 売上高19,896百万円、営業利益972百万円、純利益634百万円、営業利益率4.6%
・株式時価総額: 448億円 

⇒売上高、営業利益、純利益、営業利益率のすべてにおいてゲンキーが薬王堂を上回っているにもかかわらず、株式時価総額では薬王堂がゲンキーを大きく上回っています。これから近いうちにゲンキーの株式時価総額は薬王堂に追いつくことが期待されます。


※なお、くれぐれも株式投資は自己責任でお願いします。