今月24日、幸楽苑ホールディングス(以下、幸楽苑とする。)が中期経営計画を発表しました。

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2026年3月期を最終年度とする7か年の中期経営計画で、最終年度に売上高1,000億(2019年3月期実績412億円)、経常利益100億円(2019年3月期実績15.8億円)を目指す計画です。
売上高と経常利益ともに綺麗な右肩上がりのグラフですね。

成長力の高い意欲的な計画が好感されて、その3日後には株価が年初来高値を更新しました。本日終値は3,360円です。

中期経営計画が発表された場合、投資家は、その計画値が現実的な数字であるのか、それとも大風呂敷を広げたものであるのかなどを精査する必要があります。
決して、そのまま鵜呑みにしてはいけません。

今回は、僕がこの中期経営計画を深読みした内容を書きます。

まずはじめに注目したところは、中期経営計画の3年目までの計画値です。
最近は、中期経営計画を発表する上場企業が増えてきましたが、中期経営計画は3か年の計画であることが一般的です。
幸楽苑のように7か年というのは非常にめずらしい事例です。

そこで、3か年(2020年3月期~2022年3月期)に焦点を当てて見ていきます。

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冒頭に挿入した7か年の中期経営計画のグラフと比べると、印象ががらっと変わったと感じませんか。

7か年の中期経営計画では、売上高と経常利益ともに綺麗な右肩上がりのグラフでした。
その一方、3か年では、売上高が微増、経常利益は凸凹

特に経常利益は、2020年3月期は増益計画ですが、2021年3月期では一転して減益計画。
そして2022年3月期に2020年3月期の水準に戻るという計画になっています。

つまり、7か年の中期経営計画では、前半の3か年では経常利益の伸びは低く抑えられていて(2年目には減益計画)、4年目以降から利益が大きく伸びる計画になっていることがわかります。

ここで僕が注目したところが、2年目の経常利益の減益です。
なぜ減益となるのでしょうか。

あくまでも僕の推定にはなりますが、新工場の建設がひとつのキーワードになると考えられます。

さかのぼること1年半前、2017年12月15日に幸楽苑は京都工場の譲渡を発表して、翌年3月に物件引き渡しが完了しました。

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発表当時は、前年に発生したラーメンへの異物混入事件騒動で既存店売上高が伸び悩み、赤字を計上するなど非常に厳しい状況でした。
そこで、経営資源の効率化、収益性の向上、資金確保などを目的として京都工場をリンガーハットへ譲渡しました。

当時から月日が流れ、業績回復に一定の目途がついた現在、今後の成長のためには現工場の生産キャパシティーとの兼ね合いから、中期経営計画にも記載があるように新工場の建設が必要となってきたのだと考えられます。

新工場を建設した当初は、減価償却費の負担増や新工場稼働に伴う先行費用の発生、低い稼働率などによって利益が圧迫されます。
これが、2年目の2021年2月期を減益計画としたひとつの要因ではないかと考えられます。


また、幸楽苑が中期経営計画を一般的な3年ではなく、7年で発表した理由。
それは、3か年の中期経営計画では、2020年3月期は増益計画ではあるものの、2021年3月期は一転して減益計画。そして2022年3月期に2020年3月期の水準に戻るという成長性に乏しい計画となってしまうからではないでしょうか。

中期経営計画の重点政策の中に書いてあるように今後、IT化の推進、新研修センターの建設、新業態の開発・出店、M&A、新工場の建設を進めるためには投資資金が必要となってきます。
ところが、幸楽苑は異物混入事件で業績が悪化した2018年3月期に▲32億円の大きな損失を計上したため、資金余力があまりありません。

そこで、考えられるのが今後の資金調達です。
例えば、公募増資やMSワラントなどで資金を調達するのであれば、時価総額が大きいほうが好都合です。
(現在の時価総額は約560億円のため、10%の希薄化で56億円が調達できる。)

今後の資金調達を考える上では、株価は高いほうが望ましい。
そのために、成長性に乏しい3か年中期経営計画を発表するのではなく、4年目以降に売上高と利益が大きく伸びていく7か年中期経営計画を発表することにしたのかもしれません。
来月の株主総会が終わった以降に増資爆弾、あるかも。


最後に一言。
まだ先にはなりますが、中期経営計画どおり2021年3月期が減益計画であれば2020年3月期本決算跨ぎの期待値は低いといえるでしょう。