過去10年(2009年~2018年)に新規上場(IPO)した外食チェーンは18社でした。
(※2009年、2010年、2011年、2013年は、新規上場した外食チェーンは0社)

この18社のIPO初値と現在の株価(2019年5月21日)の株価騰落率を算出したものが、次の表です。

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上記の表の中で注目してほしい箇所が、IPO時の営業利益率と株価騰落率との関連性です。

水色の会社は、IPO時の営業利益率が7.0%以上の会社。
薄黄色の会社は、IPO時の営業利益率が5.0%以上7.0%未満の会社。
桃色の会社は、IPO時の営業利益率が5.0%未満の会社。

例えば、2018年10月19日にIPOしたギフトのIPO時の営業利益率は10.15%で株価騰落率は+11.9%です。営業利益率が7.0%以上のため、水色です。

また、表の右下に営業利益率7.0%以上、営業利益率5.0%以上(※営業利益率5.0%以上7.0%未満に営業利益率7.0%以上を加算。薄黄色と水色の合計)、営業利益率5.0%未満の会社の単純平均株価騰落率を算出しています。

〔単純平均株価騰落率〕
IPO時の営業利益率が7.0%以上(水色)は、+108.4%
IPO時の営業利益率が5.0%以上(薄黄色+水色)は、+63.7%
IPO時の営業利益率が5.0%未満(桃色)は、▲19.8%

一目瞭然ですよね。
ここまではっきりと明暗がわかれるのは、驚きです。

つまり、IPO時の営業利益率が7.0%以上(水色)の外食チェーンの株式を買うと一番儲かる可能性が高く、5.0%以上(薄黄色+水色)でもそこそこ儲かる可能性が高い。
その一方、営業利益率が5.0%未満(桃色)の外食チェーンを買うと、その後に損をする可能性が高いということです。

また、IPO時の営業利益率が5.0%以上7.0%未満(薄黄色)は6社ありますが、そのうち3社の株価は下落しています。6社単純平均ではプラスではあるものの、6社中3社(=5割)がマイナスでは、少し優位性に欠けます。

その一方、IPO時の営業利益率が7.0%以上(水色)は6社ありますが、6社すべての株価が上昇しています。6勝0敗の負けなしです。
さらに、6社中3社(※串カツ田中、ヨシックス、チムニー)の株価が2.5倍以上に上昇しています。6社中3社、つまり、2社に1社は株価が2.5倍以上に上昇しています。
6勝0敗かつ50%の確率で株価2.5倍以上、なかなかすごいパフォーマンスですよね。

よって、IPO時の営業利益率が7.0%以上(水色)の外食チェーンの株式を買うと、損をする可能性は極めて低い。また、50%の確率でその後に株価が2.5倍以上になるといえるでしょう。
明らかに優位性があります。

その一方、営業利益率が5.0%未満(桃色)の外食チェーンを買うと、その後に損をする可能性が非常に高いといえます。(6社中5社の株価が下落)

以上で、「営業利益率7.0%以上の外食チェーンの株式を買えば儲かり、5.0%未満を買えば損をする。」ということをご理解いただけたのではないでしょうか。



ここまで読んで、「今後、この優位性を活用したいなあ」と考えた方がおられるかもしれません。株式投資をする上では、優位性を活かすことが非常に大切です。

ひとつ事例を紹介します。

今年(2019年)に新規上場(IPO)した外食チェーンが1社あります。
今年3月28日に新規上場した餃子居酒屋チェーンのNATTY SWANKYです。

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NATTY SWANKYの現在の株価は、IPO初値から大きく下落しています。
しかしながら、IPO時の営業利益率に目を移すと、NATTY SWANKYの営業利益率は8.47%と7.0%を超える水準です。つまり、IPO時の営業利益率が7.0%以上(水色)のグループに属します。

NATTY SWANKYの株価は下落していますが、例えば、現在は株価が上昇しているIPO時の営業利益率が7.0%以上(水色)のギフトもIPO後から数か月は株価が軟調で、IPO初値3,710円から2,500円前後まで大きく株価が下落(株価騰落率▲33%)しました。けれども、その後に株価が反発して現在の株価はIPO初値を超えるまで上昇しています。

そのため、現在のNATTY SWANKYのIPO初値から大きく下落した株価は、逆に大きなチャンスといえます。

(1) IPO時の営業利益率が7.0%以上(水色)は6社あったが、6社すべての株価がIPO初値よりも上昇している。
(2) IPO後の数か月で株価が▲33%と大きく下落したギフトも、IPO初値を超えて株価が上昇している。
(3) IPO時の営業利益率が7.0%以上(水色)の6社中3社、つまり、2社に1社(=50%)は株価が2.5倍以上に上昇している。

上記(1)~(3)の根拠から、IPO時の営業利益率が7.0%以上(水色)のグループに属するNATTY SWANKYの株価は、初値3,930円を超えてくる可能性が極めて高いと推定できます。

IPO初値3,930円まで株価が戻ると、現在の株価2,623円から+49.8%の株価の上昇が期待できます。

さらに、50%の確率で株価が初値から2.5倍以上(=株価9,825円)に上昇します。
現在の株価2,623円から+274.5%(=3.7倍)の株価の上昇が期待できます。


以上で、終わりです。




(以下、余談)
余談については、NATTY SWANKYの直近の株価急落の原因についての見解を書きます。
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上図の株価チャートに注目してほしいのですが、5月に入ってから下記の3回(=3日)、大きな株価の下落がありました。

(1) 5月10日
(2) 5月11日
(3) 5月17日

上記(1)の下落の原因が、9日引け後に発表された4月の月次売上高です。
4月の既存店売上高が3月のプラスから一転してマイナスに転落したことが嫌気されて売り込まれました。

(2)の下落の原因が、10日引け後に発表された第3四半期決算です。
第3四半期終了時点で通期営業利益計画に対する進捗率が56.6%にとどまり、通期業績未達(下方修正)懸念から売り込まれました。

(3)の下落の原因が、16日引け後に発表された株主優待導入です。
株主優待が、ダンダダン酒場の餃子一皿引換券(税込500円相当)6枚という魅力に乏しい内容であったため、株主優待(例えば、年2回、1回あたり3,000円相当の食事券)など魅力的な内容に期待していた優待投資家から失望されて、株価が大きく下がりました。

しかしながら、NATTY SWANKYの業績に対して過度な悲観は不要だと考えます。

まず(1)についてですが、4月は既存店売上高が3月のプラスから一転してマイナスとなりました。
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けれども、月次売上は会社の想定どおりの進捗であると推測できるため、何ら問題はありません。

その理由は、3月28日に公表された「東京証券取引所マザーズへの上場に伴う当社決算情報等のお知らせ」の中に、次のような記載があるからです。

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”既存店売上高は店舗毎の前年の売上高実績の月平均売上高の98%程度に季節指数(※)を乗じて月別に予想売上高を算出しております。”

前年の売上高実績の月平均売上高の98%程度、つまり今期の既存店売上高計画は98%です。
その一方、今期の既存店売上高の実績は、昨年7月~今年4月までの10か月平均で98.2%であるため、計画を0.2ポイント上振れしています。
よって、4月の既存店売上高が前年割れしましたが、それでもまだ計画を若干上振れて推移しているため、何ら問題はありません。

次に、(2)について。
第3四半期終了時点で通期営業利益計画に対する進捗率が56.6%にとどまり、通期業績未達(下方修正)懸念から売り込まれましたが、これは昨年10月14日に取り上げたマネジメントソリューションズと似たパターンです。
昨年10月14日の記事では”低い進捗率を逆手に取った”投資手法を紹介しました。
当時のマネジメントソリューションズは第3四半期終了時点で進捗率が63%にとどまり、通期業績未達(下方修正)懸念から株価が下がっていました。しかしながら、その後の結果は、記事に書いたとおりとなり、株価は2倍以上に上昇しています。

NATTY SWANKYの進捗率は56.6%と低いものの、これは計画どおりの進捗(または計画を若干上振れした)と考えられます。

その理由は、上場承認日が2月28日であり、上記の「東京証券取引所マザーズへの上場に伴う当社決算情報等のお知らせ」の中に”1月30日の臨時取締役会で2019年6月期修正予算を決議しております。”と書かれています。
つまり、上半期実績をもとに下半期の計画を新たに立てたため、その後わずか3か月間(=第3四半期、1月~3月)の実績が計画を大きく下振れすることは考えにくいのです。
わずか3か月で販管費が急激に増えることは考えにくく、また、既存店の月次売上が大きく落ち込めば、利益が大きく下振れすることになりますが、上記のとおり既存店売上高計画98%に対して1月~3月の3か月の単純平均既存店売上実績は98.6%(※計算式:(96.6+97.9+101.3)÷3=98.6)であるため、利益下振れ要因は見当たりません。

よって、進捗率が56.6%と低く見えるのは、第4四半期偏重計画であるからそのように見えるだけで、業績未達(下方修正)の可能性は低く、計画どおりに着地する可能性が高いと考えられられます。
もしくは、既存店売上高が会社計画を上回って推移していることから上振れ着地の可能性もありえます。

もしも、第4四半期決算で会社計画どおりの数字で着地すれば、第3四半期決算の低進捗率&業績未達(下方修正)懸念で株価が急落した直前の水準までは株価が戻るでしょうから、株価は3,200円前後まで戻ると考えられます。
現在の株価は2,623円のため、+22.0%の株価の上昇が期待できます。

(3)については、魅力に乏しい優待のほうが株主優待費用が安くすむため、利益の下押しが小さくなる利点があります。

来期については、4月19日付の日経流通新聞に、「IPO時に調達した資金を使い、来期にダンダダン酒場を99店舗体制にするために新規出店を進める。また、居酒屋チェーンは単一業態100店舗規模になればスケールメリットを得られ、仕入れ調達面で優位な条件を得られる。店舗運営の効率化も進めて営業利益率を10%へ引き上げたい。」というような内容の記事が載っていましたので、来期は売上高+30%以上、営業利益+30%以上の増収増益が期待できます。



・・・余談が長くなりましたが、
本記事の本題は、「営業利益率7.0%以上の外食チェーンの株式を買えば儲かり、5.0%未満を買えば損をする。」です。

よって、本題の重要な箇所を再掲して終わりにします。

IPO時の営業利益率が7.0%以上(水色)の外食チェーンの株式を買う投資手法には、優位性があります。
・IPO時の営業利益率が7.0%以上(水色)のグループに属するNATTY SWANKYの株価は初値3,930円を超えてくる可能性が極めて高いと推定でき、初値3,930円まで株価が戻ると、現在の株価2,623円から+49.8%の株価の上昇が期待できます。
・さらに、50%の確率で株価が初値から2.5倍以上(=株価9,825円)に上昇します。現在の株価2,623円から+274.5%(=3.7倍)の株価の上昇が期待できます。