TPP11が12月30日に発効します。
日本は、12月30、31日のわずか2日間が「発効1年目」とみなされ、2019年1月1日から「発効2年目」となります。
日本の年度が替わるのは4月1日で、日本では2019年4月1日から2年目です。
そのため、牛肉の輸入関税は38.5%から発効日の12月30日に27.5%、2年目に入る2019年4月1日に26.7%となります。

米国はTPP11には参加していません。
そのため、米国産牛肉の輸入関税は12月30日には下がりませんが、米国産牛肉の関税引き下げについては、来年1月から始まるTAG交渉で議論になります。
米国産牛肉の関税の引き下げがおこなわれないと米国産牛肉の輸出競争力が落ちるため、米国ファーストのトランプ大統領のもと、TAG交渉でTPP並みまたはそれ以上の関税引き下げが濃厚だと考えられます。

今回は、米国産牛肉の関税がTPP11と同じ幅引き下げられた場合、ペッパーフードサービスのいきなりステーキ事業に、どの程度のプラスの影響があるのかを推定します。

まずはじめに、僕が作成した今期(予想)および来期(紅の鹿推定)のいきなりステーキ事業のセグメント売上および営業利益の表をみてください。
(単位:百万円)
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2018年12月期の3Qまでは実績で、4Q以降(※黄色の箇所)は僕の推定値です。
4Qの売上高17,602百万円は前年同期4Qの+100%(2倍)、営業利益率は3Qと同率の9.3%になると予想して、営業利益1,644百万円を算出。

2019年12月期の売上高は、1Qが前年同期1Qの+95%、2Qが前年同期2Qの+90%、3Qが前年同期3Qの+85%、4Qが前年同期4Qの+90%として、営業利益率は前年同期と同率になると予想して、営業利益を算出。

2019年12月期の売上高については、今期出店(予定)の200店舗が年間を通してフル稼働すると同時に、引き続き新規出店が進むことから上記の増収率になると予想しています。
その結果、いきなりステーキ事業の2019年12月期の売上高(推定)は103,916百万円となり、1,000億円の大台を超えます。
2019年12月期の営業利益(推定)は9,895百万円になりますが、この数字には米国産牛肉の関税引き下げのプラスの影響は含まれていません。


次に、米国産牛肉の関税引き下げがいきなりステーキ事業に与えるプラスの影響について分析してみます。

米国産牛肉の関税がTPP11と同じ幅引き下げられた場合、2019年4月1日に26.7%となります。
現在の関税率が38.5%のため、米国産牛肉の仕入れ価格は8.5%低くなります。
なお、豪州産牛肉も同様です。

いきなりステーキの米国産牛肉および豪州産牛肉の原価率は約70%です。
牛肉より原価率が低い米、サラダ、スープなどを含めるといきなりステーキの原価率は約60%です。
そのため、原価率に締める米国産牛肉および豪州産牛肉の割合は70%~80%であると推定されます。

よって、関税率が26.7%に下がって米国産牛肉の仕入れ価格が8.5%下がると、いきなりステーキ事業の売上高売上原価率は、”原価率60%×原価率に占める米国産牛肉および豪州産牛肉の割合70%~80%=4.2%~4.8%”下がることになります。

売上高売上原価率が4.2%~4.8%下がると、営業利益率が4.2%~4.8%上がります。

したがって、米国産牛肉および豪州産牛肉の関税が26.7%に下がることによって、いきなりステーキ事業の営業利益率が4.2%~4.8%上昇するというプラスの影響がでます。

例えば、前記の表に、2019年4月1日から牛肉関税が26.7%に下がって営業利益率が4.2%上昇することを反映させると次の表となります。(※オレンジ色の箇所が反映した部分)
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いきなりステーキ事業の営業利益率が9.5%から12.9%に上昇して、営業利益は9,895百万円から13,358百万円へ増加しました。


前記のとおり、いきなりステーキ事業の2019年12月期の売上高(推定)は103,916百万円となり、約1,000億円です。
よって、米国産牛肉および豪州産牛肉の関税が26.7%に下がることによって、年間で”1,000億円×4.2%~4.8%=42~48億円の利益増加となります。

今期(2018年12月期)のペッパーフードサービスの営業利益(会社予想)は40億円のため、年間で42~48億円の利益増加となれば、業績に与えるインパクトは非常に大きいです。

現実には、関税引き下げの一部を消費者に還元するために値下げすることが予想されるため、原価率は上記のとおりの改善幅にはなりません。その一方、値下げにより客数増が期待できるため、既存店売上高が増加して店舗利益率が改善されます。よって、全体としてみれば42~48億円の利益増加が期待できると考えられます。

また、牛肉の関税は毎年少しずつ引き下げられて、最終的には9.0%まで下がります。毎年、恩恵を受けられます。

なお、いきなりステーキ事業については、月次の既存店売上高の前年割れが続いていることから苦戦していると思われている方がいるかもしれません。
しかし、実際には、今期は売上高・営業利益共に会社計画を上振れて推移していて、通期でも会社計画を上振れ着地することが濃厚なほど好調です。これまでに赤字による退店は一店もありません。
(※現時点で、業績の足を引っ張っているのはペッパーランチ事業です。しかしながら、ペッパーランチ事業も牛肉関税引き下げにより利益率の改善が期待できます。)

来年以降、牛肉関税引き下げという追い風を受けて、さらなる業績拡大が期待できそうです。