昨今の個人投資家界隈では、会社四季報を持ち寄って行う四季報勉強会や四半期決算の売上と利益の通期計画に対する進捗率に着目した売り買いなどが活況を呈しています。
いわゆる会社四季報投資法、進捗率投資法というものです。
当然、注目度が上がるにつれて競争は激しくなり、これらの投資法で人よりも抜きんでることは難しくなってきます。

そこで今回は、四季報や進捗率を”逆手に取った”ファンダメンタルズ分析手法を紹介します。
今回、具体例として取り上げる会社は、7033 マネジメントソリューションズ(MSOL)です。

以下、長文となります。

まず始めに、最新版の会社四季報の一部と株探の業績および進捗率を見てみましょう。

〔会社四季報〕
msol1
msol2

〔株探〕
msol10
msol4

マネジメントソリューションズに対して、どのような印象を持たれましたか。
持たれた印象は、次のようなものではないでしょうか。

・前期は売上高+68.6%、営業利益+86.7%と大幅増収増益であるが、今期(予想)は売上高+8.5%、営業利益+28.1%と伸び率が大幅に鈍化する。また、四季報の来期業績予想は売上高+8.4%、営業利益+12.0%となっていて、成長鈍化の傾向が続きそう。
・3Q時点の対通期進捗率は通常、75.0%以上が望ましいのに、営業利益が63.3%、経常利益が60.4%となっていて進捗率が悪い。通期業績予想の未達や下方修正の可能性が高そう。
・成長鈍化傾向の会社のPERが30倍。特に割安ではないし、業績下方修正が発表されたら株価が大幅下落しそうで、ちょっと株は買いにくい。

四季報や株探の進捗率をぱっと見ただけでは、このような印象を持たれても当然だと思います。

しかしながら、もう少し深く同社の業績をみてみるとまったく印象が違ってきます。四季報や進捗率のみに注目している投資家の間では低評価となってしまうところを逆手に取るのです。


それでは次に、マネジメントソリューションズの損益を中心としたファンダメンタルズ分析を行います。
まずは、僕が作成した下記の決算期別の売上・利益の推移表を見てください。

msol5

上記のA表は、四季報や株探と同じ数字です。
ここで注目してほしいのは、B表です。
B表は、キタゾエアンドカンパニーの業績を除いた売上・利益です。
同社のファンダメンタルズ分析を行う上で、キタゾエアンドカンパニーの取り扱いが大切になってきます。

キタゾエアンドカンパニーは、マネジメントソリューションズが2016年10月17日に全株式を取得して完全子会社にした会社です。2016年10月期はキタゾエアンドカンパニーの貸借対照表のみを連結しています(損益計算書は連結せず)。
2017年10月からは貸借対照表だけでなく損益計算書(※損益計算書とは売上や利益のこと)も連結化。しかしながら、2017年10月24日に全株式を売却したため、2018年10月期では連結の範囲から除外しています。

つまり、2017年10月期のみにキタゾエアンドカンパニーの売上と利益が含まれていることになります。

msol3

上記画像のとおり東京証券取引所マザーズへの上場に伴う当社決算情報等のお知らせにも書かれています。

そのため、キタゾエアンドカンパニーを除いた創業時からの本業だけの業績推移をみておかないと判断を誤ってしまいます。そこで、キタゾエアンドカンパニーの売上と利益を除いた決算期別の売上・利益の表をB表として作成しました。

具体的に数字を見ていきます。

A表では、2017年10月期は売上高+68.6%、営業利益+86.7%と大幅増収増益ですが、2018年10月期(予想)は売上高+8.5%、営業利益+28.1%と伸び率が大幅に鈍化します(※表の黄色の箇所)。
その一方、B表では、2017年10月期は売上高+45.5%、営業利益+39.1%と大幅増収増益ですが、2018年10月期(予想)は売上高+25.7%、営業利益+71.9%と前期同様に大幅増収増益(予想)となっています(※表の桃色の箇所)

つまり、A表の数字をみただけでは、マネジメントソリューションズは成長鈍化企業とみなされてもしかたがありませんが、実際にはB表のとおり成長企業であることに気づきます。
マネジメントソリューションズは、成長鈍化企業ではなく成長企業なのです。


ここまで見てきて、成長企業であることはわかったけれど、進捗率をみるかぎり業績未達や下方修正懸念があるよね・・・、という声についても見解を書きます。

たしかに、今期3Q時点の進捗率は営業利益が63.3%、経常利益が60.4%となっていて悪いです。
しかしながら、実際は、業績未達や下方修正よりも業績上振れが期待できます。

その理由は、同社の3Q決算説明資料を見れば一目瞭然です。

msol6

売上高、営業利益、経常利益および純利益ともに3Q時点で会社計画を上振れ着地
3Q時点の進捗率は悪いけれど、計画を上振れして着地していることから過度な心配は不要です。
売上高が+5%、営業利益が+10%、経常利益が+6%、純利益が+8%上振れしているため、実際は通期の業績未達や下方修正の可能性よりも上振れ着地の可能性のほうが高いと言えるでしょう。


マネジメントソリューションズが成長鈍化企業ではなく成長企業であること、3Q時点の進捗率は悪いが通期業績未達よりも業績上振れの可能性が高いことを理解していただけたのではないでしょうか。

成長企業で今期業績上振れの可能性が高いけれど、四季報の来期業績予想は売上高+8.4%、営業利益+12.0%となっていて成長鈍化懸念があるよね・・・、という声についての見解も書いておきます。

結論から言いますと、四季報の来期業績予想はまったくもって的外れだと考えます。売上高については、年率30%~40%の増収が期待できます。

その理由のひとつが下記の上場時の高橋社長のインタビューです。

msol7

売上高を年率30~40%程度伸ばしたい。
この社長の発言は大風呂敷を広げたものなのか、それとも現実的なものなのか。

僕は、十分達成可能な現実的な数字であると考えます。
その理由は、マネジメントソリューションズの過去3期の増収率とビジネスモデルからです。

2018年10月期の売上高の増収率(キタゾエアンドカンパニーを除いた予想。上記B表参照)は25.7%ですが、3Q時点で計画比+5%上振れしていることから4Qでも+5%上振れすると推定すると、増収率は32.0%となります。(計算式:2,878÷2,181×100=32.0%)
2017年10月期、2016年10月期ともに増収率は30%を超えているため、増収率は3期連続で30%超えとなります。

また、同社のビジネスモデルは、企業向けプロジェクトマネジメント支援に専門特化したストックビジネス型の独自性の高いビジネスモデルです。
既存顧客のリピート率は3期連続で95%超え(=ストックビジネス)。
msol8

2005年創業以来、400件以上のPMO(Project Management Office)案件の実績とノウハウを持つリーディングカンパニーです。
プロジェクトマネジメントは米国を中心に普及していて、今後、日本国内をはじめ、アジア全体に普及すると見込まれている成長市場。

同社の売上高は、主に「プロジェクト数×コンサルタントの単価×コンサルタントの稼働率」から成り立っています。よって、コンサルタントの増員が増収につながる構造です。

今年の7月に新規上場したことによる社会的信用および知名度の向上により、4Q以降はこれまで以上に新規問い合わせ企業数の増加が期待でき、また、優秀な人材を獲得しやすくなりました

以上の2つの理由により、高橋社長の「売上高を年率30~40%程度伸ばしたい。」という発言は現実的な数字目標であると考えます。


それでは最後に、今後の同社の株価について書いておきます。

以前、当ブログでコーア商事ホールディングスの事例を挙げて書いたように、僕のこれまでの経験および分析データから導き出した、IPO後に株価が上がるのか、下がるのかを決める第一の要素は、IPO後に初めて迎える四半期決算でIPO時に開示した決算予想を上振れ着地できるのか、はたまた未達になるのかです。

第二の要素はIPO時の決算期の翌期の業績予想が、IPO時の決算期の増収率・増益率を上回る増収率・増益率になるのか、はたまた下回るのかです。

したがって、IPO後に株価が右肩上がりに上昇する銘柄とは、
(1)IPO後に初めて迎える四半期決算でIPO時に開示した業績予想を上振れ着地する
(2)翌期の業績予想の伸び率がIPO時の決算期より良い
の2つを満たしたときです。

マネジメントソリューションズは、すでに書いたように3Q時点では業績予想を上振れして着地していて、このまま順調にいけば4Qでも上振れ着地するでしょう。よって、(1)の条件を満たします。

条件(2)については、今期業績予想の伸び率は、売上高+8.5%、営業利益+28.1%です。すでに書いてきたとおり年率30%以上の増収が現実的であることから、来期業績予想の伸び率は、売上高+30%以上、営業利益+30%以上が期待できます。
よって、条件(2)を満たします。もちろん、会社四季報の来期業績予想を大きく上回る数字になることは確実です。

今期業績が上振れ着地して、来期の業績(予想)の増収率・増益率が今期を大きく上回る数字になれば、株価は大きく上昇するでしょう。

今後の株価の推移については、現実路線と理想路線のふたつを書いておきます。

現実路線としては、売上高、営業利益ともに年率+30%以上の伸びが期待できることから、同社の現在のPERは30倍であるため、毎年、株価は+30%上昇します。

理想路線としては、今期3Qで計画比で純利益+8%で上振れ着地していることから、今期4Qでも+8%上振れ着地すると推定すると今期EPSは、88円×1.08=95円となります。
例えば、来期の業績(予想)が売上高+30%、利益+40%となれば、来期EPSは95円×1.4=133円。利益の伸び率が40%だからPER40倍の評価を受けられれば、株価は133円×40倍=5,320円となります。
現在の株価が2,690円のため、株価が約2倍になります。

現実路線で株価+30%の上昇、理想路線で株価2倍の上昇が期待できます。


また、type就活(2017年11月10日更新)での高橋社長のインタビューで、次のような発言もありましたので一部をご紹介しておきます。

msol9

同社の社員数の約9割がコンサルタントであり、コンサルタントの増員が増収につながります。
遠からず現在の社員数の5倍以上の1000名体制を目指すということなので、将来的には売上高5倍の成長が期待できます。

同社の株式時価総額は48億円と小さくて、50億円未満の小型株です。
例えば、社員1000人体制確立で、売上高が5倍以上になり、利益も5倍以上になって、そのときにPER40~60倍の評価を受けられたのであれば、時価総額500億円超えができます。

マネジメントソリューションズ(MSOL)を長期保有することで”テンバガー”を手に入れることができるかもしれませんね。

長くなりましたが、
以上で、マネジメントソリューションズの事例を用いた四季報や進捗率を”逆手に取った”ファンダメンタルズ分析手法のご紹介を終わります。