本日は、「一歩先を行く投資術」という題目で、知っていたらちょっと役立つ投資術をお届けします。なお、このシリーズは1記事完結(読み切り)で不定期更新になります。

今回は、シリーズ第5回目です。
※前回のシリーズ第4回目「一歩先を行く投資術(記念配当編)〕」は、こちら↓
 
http://cervorosso.blog.jp/archives/1060951683.html


それでは、非適時開示月次売上編のスタートです。




〔第5回: 非適時開示月次売上編〕

外食チェーンや小売チェーンの多くは、毎月の売上高前年同月比(=月次売上)を公表しています。

個人投資家の大半は、通常、適時開示情報閲覧サービスで外食チェーンや小売チェーンの月次売上を確認しています。よって、彼ら、彼女らと同じことをしていただけでは一歩先を行くことはできません。

それでは、一歩先を行くにはどうしたらよいのでしょうか。

結論から書きますと、適時開示情報閲覧サービスでは公開されない月次売上(=非適時開示月次売上)を確認したら良いのです。


実は、月次売上を適時開示情報閲覧サービスでは公開せずに、自社のIR情報サイトでのみ公開している外食チェーンや小売チェーンが存在します。

例えば、うどんチェーンのトリドールホールディングス、たこ焼きチェーンのホットランド、ドラッグストアチェーンのマツモトキヨシホールディングス、食品スーパーチェーンのヤオコー、靴下チェーンのタビオなどは月次売上を適時開示情報閲覧サービスでは公開せずに、自社のIR情報サイトでのみ公開しています。

各社のIR情報を欠かさず確認している個人投資家は意外と少ないのではないかと思っていて、適時開示情報閲覧サービスで公開される月次売上高と比べると、IR情報で公開される月次売上高は、株価に織り込まれるスピードが遅いように感じられます。



それでは、具体的な事例をひとつ挙げてみます。

東証2部上場の靴下屋チェーンのタビオ(※銘柄コード:2668)という会社があります。

まずはじめに、タビオが自社のIR情報で公開した2017年2月の月次売上情報を見てください。

getuzitabio


タビオの既存店(全店)売上高は、2016年10月までは前年同月比マイナスで推移していましたが、2016年11月にプラスに転じて、先月まで4か月連続でプラスとなっています。前年がうるう年のために営業日数が前年よりも1日少なかった2月もプラスでした。
(※9月▲19.4%、10月▲6.7%、11月+1.3%、12月+1.9%、1月+2.4%、2月+1.0%)
※月次売上情報の詳細はこちら↓
http://www.tabio.com/jp/corporate/ir/monthly

もう少しさかのぼってみるとわかりますが、タビオの既存店(全店)売上高は、2015年3月~2016年10月までの20か月間という長期間にわたって前年同月比マイナスで推移していました。

既存店(全店)売上高が苦戦していたため、昨年(2016年)10月には2017年2月期の通期業績予想を下方修正する結果となりました。

しかしながら、昨日には一転して、一度は下方修正した2017年2月期の業績予想を上方修正しています。
連結経常利益を従来予想の3億円から5億円に+66.8%の上方修正を行いました。
※2017年3月31日引け後に発表された業績予想の修正(=上方修正)の詳細はこちら↓
http://www.tabio.com/jp/corporate/news/wp-content/uploads/2017/03/170331.pdf


業績を上方修正することになった大きな要因は、既存店(全店)売上高の復調です。
20か月間という長期間にわたって前年同月比マイナスで推移していた既存店(全店)売上高が、昨年11月からプラスに転じて、先月まで4か月連続でプラスとなったことが上方修正につながりました。

タビオの月次売上は、適時開示情報閲覧サービスでは公開されていないため、適時開示情報閲覧サービスのみを確認していただけでは、今回の上方修正を予想することは難しいでしょう。
しかしながら、IR情報でタビオの月次売上を確認していれば難しいことではありません。

なお、タビオの月次売上が昨年11月からプラスに転じて、先月まで4か月連続になった原動力のひとつが、昨年9月にリリースされたTabioアプリ(※オンラインストアを含む、靴下屋、Tabio、Tabio MEN 各ブランド共通で使える会員証アプリ)です。Tabioアプリのダウンロード数は初月18万ダウンロードと会社想定を超えました。

Tabioアプリでは商品の購入だけなく、ショップへのチェックイン、コーディネートや商品・店舗へのお気に入り登録、レビュー投稿などでもTabio独自のポイント「ピース」を貯めることができます。また、「ピース」が貯まるとそれに応じてランクが上がり、特別なクーポンの配信や限定イベントへの招待を受けることができます。

さらに、Tabioアプリ経由のEC売上の拡大が期待されます。
2017年2月期のEC売上(計画)は6億円でしたが、2年半で20~30億円に拡大する計画です。
今年9月には米国でTabioオンラインストアのリリースが予定されていて、米国進出の第一歩を踏み出します。
EC売上はこれからの同社の成長ドライバーになると同時に、実店舗への顧客誘導等の仕掛けにより実店舗販売との相乗効果を出す形で客数・売上高の拡大を狙っています。
(※EC売上は、上記の月次売上には含まれていない。上記の月次売上は店頭売上ベース)

したがって、Tabioアプリによって顧客の囲い込み、固定客化・ファン化が進むでしょう。
固定客の比率を拡大し、リピート購買、連続購買を促すことによって、長期に渡る継続的な売上拡大が期待できます。



(総括)

各社のIR情報で月次売上を毎月チェックすることで、適時開示情報閲覧サービスのみを確認している投資家と比較して

・先回りして将来的な好機(上方修正)に先手を打つ
・先回りして将来的な脅威(下方修正)に先手を打つ


ことができます。

上方修正をした会社の株価が必ず騰がる(または下方修正をした会社の株価が必ず下がる)とは限りませんが、将来的な好機・脅威を先んじて知ることで、人より先に考え、動くことが可能です。

適時開示情報閲覧サービスだけでなく、各社のIR情報でも月次売上をチェックする習慣をつけましょう。

それが、一歩先を行く投資術です。