どーも、紅の鹿です。


さて、昨日に書いた「日豪EPAによる牛肉仕入コスト低下の影響を分析してみた」の記事の続きを書きます。

初めて当記事を目にされた方は、まずすぐ下にあるリンクをたどって過去記事を読まれることをおススメします。

※ブログ過去記事「日豪EPAによる牛肉仕入コスト低下の影響を分析してみた」は、こちら↓
  
http://cervorosso.blog.jp/archives/1006645368.html




〔Part2: ペッパーフードサービス編〕


さて、今回は、日豪EPAによる豪州産牛肉の仕入コスト低下が、ペッパーフードサービスの業績にどのような好影響を与えるのかを具体的な数字を使って分析してみます。
(※なお、以下の記事には紅の鹿の主観が大いに入っていることをあらかじめご理解ください。)


(1) アメリカ産及び豪州産牛肉の仕入金額

前期(2013年12月期)の決算短信によると、ペッパーフードサービスの前期の仕入実績は、2,806百万円です。

この仕入実績には、アメリカ産及び豪州産牛肉の他に、野菜類、米、パン、ドリンク、消耗品等が含まれています。

残念ながらアメリカ産及び豪州産牛肉の仕入金額が記載されていないため正確な数字はわかりませんが、紅の鹿の独自調べにより、仕入実績の半分(50%)がアメリカ産及び豪州産牛肉であると推定します。(もし、この数字が50%ではなく40%や60%であると考える人は、以下の計算式で50%の数字を40%や60%に置き換えて計算してくださいね。)

よって、ペッパーフードサービスが前期に仕入したアメリカ産及び豪州産牛肉の仕入実績は、2,806百万円×50%=1,403百万円になります。


(2) アメリカ産及び豪州産牛肉の売上原価

前期(2013年12月期)の決算短信によると、ペッパーフードサービスの前期の売上原価は、2,800百万円です。

上記(1)の仕入実績2,806百万円との差額6百万円は期末商品棚卸高の差です。
ただし、非常にわずかな誤差の範囲なので今回は無視します。

よって、ペッパーフードサービスの前期のアメリカ産及び豪州産牛肉の売上原価は、上記(1)の仕入実績と同様2,806百万円×50%=1,403百万円になります。


(3) 関税率

ペッパーフードサービスは、ファストフード型の「ペッパーランチ」と中価格層レストランの「ステーキくに」等を展開しているため、ペッパーフードサービスで使用されているアメリカ産及び豪州産牛肉の冷凍牛肉と冷蔵牛肉の比率がわかりません。

さらにTPP交渉も合意に至っていないため、TPP発効後のアメリカ産牛肉の関税引き下げ幅がわかりません。

そのような状況であるので、やや保守的になりますが、以下のように仮定します。

・TPP合意後のアメリカ産牛肉の関税引き下げ幅が日豪EPA発効後の引き下げ幅より小さくなることは考えられない。
・関税の税率の引き下げ幅が小さい冷蔵牛肉を100%使用しているとみなす。

よって、今回の分析で使用する関税率は、やや保守的になってしまいますが、日豪EPA発効後の冷蔵牛肉の関税率を使用します。

・初年度: 32.5%(現行比▲6.0%)
・15年後: 23.5%(現行比▲15.0%)



(4) 日豪EPA&TPP発効後のアメリカ産及び豪州産牛肉仕入金額の減少幅

前期(2013年12月期)の決算短信の数字を使用して、日豪EPA&TPP発効後のアメリカ産及び豪州産牛肉仕入金額の減少幅を計算してみましょう。

 (単位:百万円)

・関税ゼロの場合のアメリカ産及び豪州産牛肉仕入金額
 1,403÷(1+0.385)=1,013

・関税32.5%の場合(初年度)のアメリカ産及び豪州産牛肉仕入金額
 1,013×(1+0.325)=1,342
 よって減少幅は、1,403-1,342=61

・関税23.5%の場合(15年後)のアメリカ産及び豪州産牛肉仕入金額
 1,013×(1+0.235)=1,251
 よって減少幅は、1,403-1,251=152


(5) 日豪EPA&TPP発効後の利益

前期(2013年12月期)の決算短信の数字を使用して、日豪EPA&TPP発効後の利益を計算してみましょう。

 (単位:百万円)

・関税38.5%の場合(現行)

売上高: 5,686
売上原価: 2,800
売上総利益: 2,886
営業利益: 204
経常利益: 209


・関税32.5%の場合(初年度)

売上高: 5,686
売上原価: 2,800-61(仕入金額減少幅=2,739
売上総利益: 2,947
営業利益: 265
経常利益: 270


・関税23.5%の場合(15年後)

売上高: 5,686
売上原価: 2,800-152(仕入金額減少幅=2,648
売上総利益: 3,038
営業利益: 356
経常利益: 361


以上により、

関税が現在の38.5%から32.5%に下がった場合(=初年度)、ペッパーフードサービスの営業利益は約30%増加します
※計算式: (265-204)÷204=0.299

関税が現在の38.5%から23.5%に下がった場合(=15年後)、ペッパーフードサービスの営業利益は約75%増加します
※計算式: (356-204)÷204=0.745


(6) 日豪EPA発効後(※TPP未合意)の利益

アメリカ産牛肉と豪州産牛肉の割合が正確にはわからないため、想像の範囲になってしまいますが、
アメリカ産牛肉と豪州産牛肉の比率は、8:2または7:3あたりかなと思います。

今回は、8:2であると推定して計算してみます。(7:3が正しいと思う人は、以下の計算式を7:3に置き換えて計算してくださいね。)


上記(5)と同様の計算方法により、

豪州産牛肉の関税が現在の38.5%から32.5%に下がった場合(=初年度)、ペッパーフードサービスの営業利益は約6%増加します
※計算式: (265-204)÷204×豪州産牛肉の比率20%=0.059


豪州産牛肉の関税が現在の38.5%から23.5%に下がった場合(=15年後)、ペッパーフードサービスの営業利益は約15%増加します
※計算式: (356-204)÷204×豪州産牛肉の比率20%=0.149




(総括)

上記(6)のとおり、
日豪EPA発効初年度(※TPP未合意のとき)は、営業利益を6%引き上げます。
そして日豪EPA発効15年後(※TPP未合意のとき)には、営業利益を15%引き上ます。

※円安、世界的な牛肉不足による原材料価格の高騰(または円高、牛肉過剰による原材料価格の低下)は考慮していません。

業績への影響はあまり大きくはありませんね・・・
まぁ、少しだけプラスの影響はありますが。


しかしながら、TPPが合意になって、アメリカ産牛肉の関税が仮に日豪EPAと同率の引き下げ幅となった場合には、上記(5)のとおり、

日豪EPA&TPP発効初年度は、営業利益を30%引き上ます。
そして日豪EPA&TPP発効15年後には、営業利益を75%引き上ます。

※円安、世界的な牛肉不足による原材料価格の高騰(または円高、牛肉過剰による原材料価格の低下)は考慮していません。


これは業績に対して非常に大きなプラス影響といえるでしょう。
初年度で+30%ですからね。その後も毎年関税が引き下げられることで毎年利益は増えていきます。

さらに、これは保守的に計算した数字のため、実際にはもう少し営業利益の引き上げ幅は大きくなると思っています。

なぜならば、アメリカ産牛肉の関税引き下げ幅は、豪州産牛肉の関税引き下げ幅より大きくなることは間違いないでしょうし、ペッパーフードが冷凍牛肉を一部使用していた場合(※実際には一部使用していると思います)、関税の引き下げ幅は冷蔵牛肉より大きいからです。(日豪EPAの場合、冷凍牛肉を18年かけて38.5%から19.5%まで、冷蔵牛肉を15年かけて38.5%から23.5%まで段階的に下げるため、冷凍牛肉の方が下げ幅が大きい。)

さらに、今年から「いきなりステーキ」の出店が増えていますが、「いきなりステーキ」ではステーキ(牛肉)をメインに食べて、サイドメニュー(野菜、米等)はほとんど食べないため、仕入金額に占める牛肉の割合が他の業態よりも高くなり、関税引き下げの恩恵も大きくなります。



最後になりますが、今回の分析の結論を一文で表すと次のとおりになるでしょう。


ペッパーフードサービスにとっては、日豪EPA発効による豪州産牛肉仕入コスト低下が業績に与えるプラス影響はあまり大きくはない(※営業利益:初年度+6%、15年後+15%)が、TPP合意によるアメリカ産牛肉仕入コスト低下が合わされば、業績に与えるプラス影響は非常に大きくなる。(※営業利益:初年度+30%、15年後+75%



(留意事項)
今回の分析では、
アメリカ産牛肉、豪州産牛肉の正確な仕入金額がわからない、冷凍牛肉と冷蔵牛肉の比率もわからない、TPP合意後のアメリカ産牛肉の関税引き下げ幅もわからない状況の中、紅の鹿独自の推定で計算しました。よって、必ずしも正しい結論にはなっていない可能性があります。また、今後、正確な仕入金額・比率・関税引き下げ幅が分かった場合には、再度、分析し直したいと思っています。ご了承願います。